平成20年11月／世田谷区

「中勢以」は、田園調布にある熟成肉専門店

「中勢以」が入居するのは閑静な住宅街、コンクリート打ちっ放しの現代的なデザインの建築と野性味溢れる草木に包まれた集合住宅と食に係わる4店舗の複合建築「けやきガーデン」の1階。

ファサードは、全面ガラスのサッシに紺の暖簾に朱色に白文字の看板とシンプルなもの。そして店内に入ると目を引くのが美しくディスプレイされた熟成肉の並ぶ壁一面の冷蔵ショーケース。このショーケースの配置は、従来の精肉店のようにケース越しに対面販売するのではなく、豊富な知識を持った店員がお客様との会話の中で要望・予算に合わせた熟成肉を切り出して提供するという考えを具現化したもの。厨房メーカー福島工業製のショーケースは、温度変化に敏感な肉の特性を考えケース内のスポットライトはLEDを採用。またステンレス製で冷たい印象になってしまうケースをカウンターと同材のウォールナットを木造作による化粧を施した。

店内全体を見渡すと天井・壁に表情のある特殊塗装（シルバー、漆黒）を用い、溶岩石（ダイナワン）貼りのカウンター天板と共にショーケースとの調和をもたらしている。さらに錫板張りの店内サインはバックからの間接照明、カウンター天板のワンポイントの錫板にスポットライトと照明による演出が行われている。

JCD Design Award 2009金賞
設計／Design　Eight
撮影／JIL-STUDIO
商店建築2009年04月号掲載